2016年02月25日

日本のアレルギー医療に一石を投じた「ステロイド・ショック」

アレルギーの一つとして数えられるアトピー性皮膚炎への対処においては、患部の炎症反応を抑える塗り薬の処方が一般的でした。この塗り薬には、様々なものがありますが、そのうち最も効果的なものとして、ステロイド薬が挙げられます。
ステロイド薬には、その名のとおり、ステロイドが含まれています。ステロイドとは、人体でも合成できる物質で、免疫が過剰反応していたり、炎症反応がおきているところを修復させる働きをもちます。ステロイド薬は、人工的に合成したステロイドを含有した薬ですが、体内で合成されるステロイドと同じ働きをし、処理されるため、副作用の少ない安全な薬だと認識されていました。

人工のステロイドにはいくつかの種類があり、また薬剤に含有する量によっても効果が異なるため、ステロイド薬には、弱いもの(Weak)から強いもの(VeryStrong)までグレード区分があります。医師は、患部の場所や症状に従って、ステロイド薬の処方を指示します。今でこそ、この指導は厳重に行われますが、実はかつては、この指導があまり徹底されず、患者は繰り返しステロイド薬が処方されるうちに、その使い分けや適正な使用量が守られないなど、正しいステロイド薬使用がされないことがありました。そのうち、安全であると考えられていたステロイド薬によって重篤な副作用が報告され、メディアでも大きく取り上げられました。それまで漫然と、いわばいい加減にステロイドを使用していた人は多く、この報道以降、医療現場では「ステロイド・ショック」と言うような、極端にステロイドを怖がる患者が増加しました。

これ以降、ただでさえ対処療法しかなかったアトピー性皮膚炎の治療において、ステロイド薬への不信感が高まった事で、医療不信にさえ、繋がって行きます。ステロイドの使用を回避するために、様々な代替医療が、また「アトピービジネス」という、市場までが誕生することになります。


ステロイドの使用をめぐって、患者と医療の間に意見の対立が頻発するようになったことは、アトピーの治療においては妨げになりましたが、一方で別の方向性からの新薬開発に取り組まれることにも繋がりました。現在、ステロイド薬とともに、選択肢にあげられるプロトピックなどがそうです。
また、ステロイドの問題を離れて、そもそもアレルギーの根本原因についても、深く探求されるきっかけになったとも、私は考えています。
実はアトピー性皮膚炎は、常に深刻な状態を抱えているわけではありません。(ステロイドのリバウンドはここに含みません)よくなったり、悪くなったりを繰り返し、時に、夜も眠れない程ひどくなった時に、ステロイドの使用が検討されるのです。
この独特な経過反応の根源は一体どこにあるのか。これが、アトピーという症状を正確に捉えるためには、不可欠だったのです。

2016年02月28日

「原因物質の除去」から、積極的なアプローチへ

アトピー性皮膚炎などのアレルギー増加が社会問題になっていたのは、日本だけではなく、海外、とくに欧米では同じような推移がありました。1970年代以降の急激な増加率は異常だと捉えられていたのです。

しかし、もともと、欧米では日本よりもアレルギー罹患率は高く、アレルギーを専門とする医師は日本よりも多くいました。欧米でのアレルギーには、花粉症やぜんそく、食物アレルギーが多く、食べ物や空気などを介して体内に入ったもののうち、何らかが起因して発生している、つまり、体の中で起きている現象が原因であることの認識は日本よりも古くから根付いていました。アトピー性皮膚炎においても、単に皮膚のうえでの症状としてではなく、体内での現象の解明に早くから着目され、食事や栄養摂取を注意深く観察し、推測される原因物質を除去することが勧められていました。

しかし、免疫のしくみが明らかになったり、分子生物学からの新たな栄養学的アプローチが試みられるようになり、それまでの、いわば回避型のアレルギー対応に変化がみられるようになります。
栄養の過不足がアレルギーの改善にも関わっている、という発表もされるようになり、原因物質の除去だけでなく、積極的に摂るべき栄養についても、研究されるようになっていきます。アレルギーを改善するための食事指導や栄養摂取方法が広く実践されるようになると、そのデータも蓄積されていくようになりました。
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