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2016年02月25日

1:原因探求の現在

原因は大きく2つ
完全解明こそされてはいませんが、患者数の増加に伴い、多くの症例や統計などから研究がすすみ、現在、アトピー性皮膚炎は単一の要因によるのではなく、様々な要因が組み合わさることによって発症する、と考えられています。この組み合わされる要因が各個人によって様々である事が、アトピー性皮膚炎のメカニズム解明を難しくしているのですが、すこしずつその具体的な要因が絞られてきつつあります。絞られて来た要因は、大きく分けると二つのグループに分けられます。

一つは、「内的要因」すなわち、遺伝的、あるいは年齢、性別など患者個人が元々持っている要因です。もう一つは「外的要因」すなわち、食生活や習慣、環境など、主に外部から受ける要因です。
アトピー性皮膚炎患者の多くは、どちらのグループに属する要因も持ち合わせている、と考えられています。

抜粋:「アトピー考察ノート」第3章:アトピーの原因としくみ より

2016年02月28日

内的要因とは

内的要因とは、患者がもともともっている体質的な条件によるものです。現在考えられている主なものとして、以下のようなものが挙げられます。

[1]皮膚の問題
いわゆる、皮膚が弱い、という体質をもつ人にあたります。皮膚の組織やバリア機能の形成過程のなかで問題が生じていて、結果的に外からの刺激や侵入を受けやすい、と考えられています。

  • 1:遺伝的に、皮膚の組織やバリア機能形成に問題があり、刺激を受けやすい。
    近年話題になったフィラグリン遺伝子の不全によるものが例に挙げられます。皮膚組織の構成成分のひとつであるフィラグリンの形成ができない、あるいは少ない人です。フィラグリンは、角質層で潤いを守る成分のもとになります。また、これ以外にも皮膚組織のなかで働く酵素の働きに関与する遺伝子に異常がある場合なども、弱い皮膚をつくる体質に繋がります。

  • 2:加齢やホルモン分泌の変化などから、皮膚の組織やバリア機能の形成過程のなかで問題が生じ、刺激を受けやすくなっている。
    加齢によって皮膚組織内の成分生成に支障が出てくることも原因のひとつとして挙げられます。フィラグリンや潤い成分の生成力は、加齢によっても衰えてきます。
    また、ストレスなどから自律神経バランスが崩れ、ホルモン分泌が変化し、皮膚組織の新陳代謝に影響が出て、乾燥したり、敏感になったりもします。とくに女性の場合は女性ホルモンのバランス変動が大きく、皮膚に影響が出やすくなります。


[2]内臓の問題
内臓の働き、とくに消化器系の働きが弱いと、アレルギーは発症しやすくなります。

  • 1:小児で内臓機能などが未熟なため、アレルギーをおこしやすい。
    臓器や腸管がまだ未熟な新生児期〜小児期は、食べ物の消化過程が不完全な状態になることがあると考えられています。また、必要な栄養物と有害なものとを区別する、「経口免疫寛容」もまだ完全に獲得できていないためアレルギーを発症しやすい、とされています。

  • 2:遺伝あるいは加齢やストレスなどから、内臓機能などに不調を来たし、アレルギーをおこしやすくなっている。
    消化器系に不全があると、大人の場合でも、小児と同じように、食べ物の消化過程が充分に行われず、未消化のまま通過しやすくなり、それらが血管内に入って、アレルギーを起こす、と考えられています。また、腸内環境の悪化も腸管免疫を左右し、アレルギーを起こし易くするとされています。


[3]免疫の問題
免疫系統の判断が誤った場合でもアレルギーは起きます。免疫のしくみはまだ完全解明されていない部分も多いので、解決も難しいのですが、様々なアプローチが模索されています。

  • 1:遺伝的にアレルギーをおこしやすい免疫システムをもっている。
    ヒトの遺伝子研究は急速に進歩しています。その中で、アレルギーに関係する遺伝子や領域も発見されています。その部分が発現されると、アレルギー体質が導かれると考えられていて、今後、この働きをどう抑えるか、あるいはどうコントロールするか、研究されていくと思います。

  • 2:遺伝以外の過程から、アレルギーをおこしやすい免疫システムを構築している。
    アレルギーを導く遺伝子発現がなくとも、アレルギーをおこしやすい免疫機構は獲得されると考えられています。この過程が、現代のアレルギー増加の一因であるとして注目されています。(詳しくは「5:アレルギーとの関与が色濃くなってきた菌とのつきあい方」で)



抜粋:
ヒールファクターズ・ラボ著「アトピー考察ノート」第3章:アトピーの原因としくみ より

外的要因とは

いわゆる「環境」的な要因です。食生活、ハウスダストやダニ、環境汚染物質などによる曝露、また菌による感染などが挙げられます。

[1]栄養摂取の過不足
排出器官でもある皮膚は、摂取した栄養状態が表れ易い器官でもあります。 細胞の主な構成成分であるタンパク質ももちろんですが、組織の維持に必要なビタミン、ミネラルが足りない場合でも皮膚症状として顕著に表れます。(詳しくは「第5章:セルフケアに取り組む」内の「2:食を見直す」で)

  • 1:ビタミン、ミネラル、蛋白質などの栄養の不足

  • 2:脂肪酸の偏り


[2]細菌、真菌などの繁殖、侵入
本来なら、外敵として排除対象にならないような菌類も、その勢力範囲が大きくなったり、発する毒素が多くなれば危険な存在となります。特に近年では、これまで問題視されてこなかった真菌による人体への影響が注目されています。(詳しくは「5:アレルギーとの関与が色濃くなってきた菌とのつきあい方」で)

  • 1:腸管内のカンジダ菌繁殖

  • 2:皮膚上の常在菌や悪玉菌(マラセチア菌や、黄色ブドウ球菌など)の過剰な繁殖



[3]生活環境から受ける過剰な曝露、摂取
ここに属するものは、大気や飲み水など、そこで生活しているだけで、どうしても曝露、あるいは摂取してしまうものです。引っ越しなどを期に、アトピー性皮膚炎を発症した人などは、疑っていい要因かもしれません。
このうち、ダニ、ハウスダストが抗原になっている場合が特に多いとされています。その他、水道水の塩素や、大気汚染物質、食品などに含まれる化学物質が免疫バランスを狂わせる要因である、とする説も多くあります。

抜粋:
ヒールファクターズ・ラボ著「アトピー考察ノート」第3章:アトピーの原因としくみ より

内的要因、外的要因が複雑にからみあっている

これらを、患者ひとりひとりが、様々な分量で複合的にもち、アトピー性皮膚炎を発症している、と考えられているのです。どれか一つの要素が働いてアトピーになっている人もいるかもしれませんが、そういう場合は割合としては少なく、多くの場合、複数の要因が重なることで起きている、と考えられているのです。


抜粋:
ヒールファクターズ・ラボ著「アトピー考察ノート」第3章:アトピーの原因としくみ より

アレルギーとの関与が色濃くなってきた菌とのつきあい方

i)菌との関係が免疫機構の構築に関与している
さて、前述のように、様々にアトピーの原因は考えられていますが、原因要素の中の核とされるものが、内的要因の[3]免疫の問題です。
なかでも、2にあげる、アレルギーをおこしやすい免疫機構の獲得プロセスについての研究がすすんでいます。
アトピー性皮膚炎へと繋がる原因が遺伝的なものだけであれば、ここ数十年での爆発的な患者数の増加は説明できません。そこで注目されるようになったのが、遺伝以外の要因によって、アレルギーを起こしやすい体質が導かれたのではないか、という仮説です。

再び注目される衛生仮説
今から、およそ四半世紀ほど前の、1989年、イギリスのStrachanらは、「先進諸国でアレルギーが増加しているのは、小さい頃に感染を経験しなくなったからだ」という研究結果を発表しています。いわゆる「衛生仮説」と呼ばれるものですが、当時はその裏付けが弱く、あまり肯定的に扱われなかったようです。
しかし、現在、様々な実験や統計などから、この仮説は通説として扱われるようになっています。では、小さいころの細菌感染がどのように私たちの免疫バランスに作用しているのでしょう。

成長過程での細菌感染が、免疫バランスの要「Th1/Th2バランス」を補正する
前に、免疫の攻撃方法を判断する「T細胞」についてご紹介しました。実はT細胞は一つの細胞ではなく、複数で構成され、判断すると考えられています。さらにT細胞にはTh1とTh2という2つタイプがあります。Th1は細胞性免疫を、Th2は抗体を作る体液性免疫を誘導する働きをもつとされ、これらは、互いに拮抗した関係にあることで、バランスのよい判断ができるようになっています。(※T細胞には他にも種類があります)
さて、T細胞はもともと骨髄で生まれます。そこから胸腺という心臓の後ろにある器官に運ばれ、ここで将来、免疫の指令塔として働くよう厳しく選別、教育されます。胸腺では、厳しい選別が行われ、そこで鍛え上げられたT細胞は、やがて胸腺を出て血流循環にのり、体の各部にあるリンパ節へと入って行きます。このリンパ節で、T細胞は受けとる刺激によって最終的にTh1あるいはTh2に分化し、これらが量的に勢力争いをすることで、免疫の指令塔としてバランスのよい判断ができるようになります。
このTh1とTh2のバランスは、生まれる前と後で大きく変わります。母親のお腹にいる赤ちゃんの体内では、Th2が優位の状態です。子宮内は基本的に無菌状態で、細菌感染の恐れは非常に小さくなっているのです。それが、出生後、少しずつ、さまざまな菌の曝露を受けたり、あるいは母乳に含まれる成分の作用により、Th1に分化するT細胞が増えていきます。最終的に、Th1とTh2のバランスは同等、あるいはTh1がすこし優位にまでなるといいます。T細胞の教育器官である胸腺の発達は10代にピークを迎え、やがてしぼんでいきます。
生後から成長期にかけてTh1/Th2のバランスが整っていくことで、自他あるいは有害無害の適正な判別ができるようになるわけです。Th2が大人と比べてまだまだ優位である子供時代は、それだけ免疫の判断が偏り易く、無害のものにもアレルギーをおこしやすい、といえるのです。
さて、衛生的となった社会では、この細菌感染の機会が減り、成長の過程で出遭う菌が少ないために、Th1の勢力が育たず、いつまでもTh2優位でいる人が増えたのではないか、と考えられています。そのため、現代人はアレルギーをおこしやすいのだ、と考えられているのです。

【Column】生後はじめての菌感染源は母親
赤ちゃんの細菌感染は、多くの場合、母親を介して行われます。腸内細菌においても、母親から感染する、という説が有力です。母親が悪玉菌優勢の状態で出産すると、産道をくぐったとき、新生児が母親の悪玉菌に曝露し、これがやがてアレルギーの発症に関わってくる、とする専門家もいます。現在では産前の母親のプロバイオティクスの重要性が強く呼びかけられています。
さらに、新生児の腸内環境や免疫の発達を考えると母乳育児も重要である、とする医師もいます。母乳は、赤ちゃんの未熟な腸管をやさしく育てるとともに、母親の女性ホルモンである「エストロゲン」や「プロゲステロン」が含まれており、エストロゲンはTh1を、プロゲステロンはTh2を促進する働きがあり、赤ちゃんの未熟な免疫を支えている、と考えられているのです。



ii)成長後の免疫の主体は腸にある。第二の脳:腸
ご紹介したように、新生児期〜幼少期のころに、多くの菌と出会うことが、むやみにアレルギーを起こさない免疫機構の構築に重要であり、幼少期に培われた正常な免疫バランスは、生涯にわたり健康に影響しつづける、と考えられています。実際、T細胞の教育に大きな役割を果たす胸腺は、思春期以降しぼんでいってしまいます。では、思春期以降、大人になってしまった体では、もはや正常な免疫機構の構築はできないのでしょうか。
T細胞の中には肝臓や脾臓、腸管など胸腺以外で分化するものもあります。これを「胸腺外分化」といいますが、幼少期以降は、このようなT細胞も活躍しはじめます。
中でも、腸管には免疫細胞の6割が存在しているとされ、胸腺の成長が終わった体内では、この腸が、第二の脳として免疫に大きく関わってきます。
腸は主に食物の消化、栄養の吸収をする働きがありますが、強力な胃酸でも死なないような細菌が侵入してきた際にそれを感知するための機能も持っています。小腸には、パイエル板、腸管上皮、そして粘膜固有層、そしてこれに繋がる腸間膜リンパ節などの免疫系があり、さらに、大腸には、孤立リンパ濾胞、シーカムパッチなどといった免疫系があります。口から入ってくる、多くの栄養物以外の侵入物を、こうした二重三重のバリアシステムで防御しているのです。

腸内にどんな菌を棲まわせるかで、Th1/Th2バランスが補正できる
腸管内では複雑に組み合わせた免疫システムで、体に必要なものか否か、あるいは敵か味方かを区別するわけですが、そこに大きく関わってくるのが、腸内に棲む細菌です。腸管内は、腸壁から分泌される粘膜で覆われていますが、この粘膜には、外からやってきた細菌が棲み付きます。前述したように、最初の細菌感染は主に母親との接触から、と考えられており、腸内細菌においても、授乳などの過程でもらいうけると考えられています。身近な人と共生できる菌であれば、赤ちゃんにも無害なことが多いでしょう。こうして、無害な菌、あるいは有益な菌との出会いを日々繰り返しながら、やがて腸内に棲み付く菌が増えていきます。腸内細菌と腸管の細胞はその働きや生成物のやりとりのうえで、互いに共益な関係であることが多く、適した栄養をもらいながら、赤ちゃんの腸内では腸管の成長とともに腸内細菌も勢力を増して行きます。やがて、腸管が成長し、また腸内細菌が健全なバランスに保たれていると、食物の消化吸収がスムーズに行われるだけでなく、その生成物によって全身の細胞に必要な栄養が得られるようになるのです。
腸管内の環境が健全であると、腸管内に存在する免疫細胞の判断も健全に行われるようになります。自己と非自己だけでなく、栄養物とその他の判断もきちんと行えるのです。腸管内の細菌が少なかったり、悪玉菌が繁殖していたりすると、腸管内の免疫細胞も判断を誤り易くなると考えられています。
現在、具体的にどんな腸内細菌が免疫バランスに影響するのか研究がされていますが、近年ではグラム陽性菌というタイプの菌が繁殖すると、Th2に傾いていた免疫細胞の働きが、Th1側へとシフトすることが発表され、非常に注目されています。腸内環境を整えることで、免疫バランスを補正できる可能性があるのです。

【Column】大人になっても胸腺は細々と働き続けている
前に、思春期以降は胸腺はしぼんでしまう、と述べましたが、実はしぼんでしまうだけで、大人になっても胸腺はT細胞の教育器官としては働き続けます。もちろん、その働きは、幼少期に比べればはるかに小さくなってしまいますが、しかし働きを止めてしまうわけではありません。最近の研究では、胸腺の働きは老齢期に入っても続いていて、この働きの強弱が老齢期の免疫力の個人差に繋がっている、とも考えられています。

抜粋:
ヒールファクターズ・ラボ著「アトピー考察ノート」第3章:アトピーの原因としくみ より

生体リズムを無視した暮らしが免疫バランスを崩す

生き方の中に、アレルギーへのなりやすさを抱える現代人
アレルギーに導くさまざまな要素が明らかになる一方、私たちの生き方そのものが、アレルギー発症を容易に引き起こさせるようなスタイルになっている、と考える専門家も多くいます。生き方に潜むアレルギーへのなりやすさとは、どういったことなのでしょう。


地球のリズムを獲得した生物が繁栄していく
人間に限らず、地球上に住む生物の多くは、それぞれ独自のリズムを持って生きています。実は地球は、大量の水が存在する、という点で生物の誕生に必要な条件をひとつ叶えてはいますが、大気や地表の成分も温度も変動が大きく、何より降り注ぐ太陽光には分子構造を変化させてしまう紫外線が含まれていて、誕生した生命にとって、とても過酷な環境である、といえるのです。その厳しい環境で、多くの生命が生まれては滅びていきました。数知れない生命が誕生しては消えることを繰り返しながら、そのうち、消えないでいられるものが現れたのです。それは、生命にとって大きな課題であった「太陽光とのつきあい方」に特徴がありました。太陽光は常に地上に降り注いでいるわけではありません。球体である地球の地上には太陽に照らされている場所と照らされていない場所があり、地球が自転することで、その場所は順次めぐっていきます。地球の自転のリズムを掴んで、太陽光がさす時間とそうでない時間を把握し、それに応じて生命活動をすることで、太陽光による害をうまくかわしたり、逆に利用できるものが現れたのです。こうして地球の自転というリズムに合わせて生きることを獲得した生命は、生存域を拡大したり、効率よく活動して数を増やしていきます。
現在、存在する生命のほとんどがこの生命の子孫であると考えられています。


熾烈な生存競争のなかで生命はより複雑になる
地球のリズムを取り込むという大技をやってのけた生命ですが、そのころはまだ単細胞生物という極めて原始的な生命体だったと考えられています。しかし、原始的とはいえ、リズムを獲得した生命体の増殖の勢いははげしく、一気に地表に広がって行きました。やがて地球のどの場所も生命であふれるようになり、生命体どうしの熾烈な生存競争が始まります。この生存競争の過程で、生命はより強く長く生き抜くために様々な方法を開発していきます。原核細胞から真核細胞へ、単細胞生物から多細胞生物へと、様々な生命の在り方を発明していき、より複雑により高機能になっていきます。
しかし、どんなに進化しても、獲得したリズムは守り続けていきました。それだけ、リズムとは、この地球上で生き続けるには不可欠な条件だった、ということなのでしょう。太古に獲得されたリズムは、やがて遺伝子に組み込まれ、生きる為に体内で行われるすべての化学反応がこのリズムに則って行われるようになります。その化学反応を止めどなく繰り返し、生命は成長し、生き、そして老いてその一生を終えるのです。
私たち人間も、リズムを体得した生命の子孫です。人間に組み込まれたリズムは、その中枢を脳におき、体の隅々にまで張り巡らせた神経ネットワークを介して、情報収集、判断、そして指令を送り、生命活動を統制しているのです。


リズムを守れるよう導く自律神経
与えられた環境で生き抜くために、生物たちは姿形だけでなく、それぞれ独自の生き方をも模索してきました。人間の場合は、二足歩行や脳の肥大化をしながら、さらに生活スタイルにおいては、太陽光の降り注ぐ日中、食物をとるために活動し、夜は休息をして次の日に備える、という方法を獲得してきました。この生活スタイルも、今では遺伝子に組み込まれ、もともともっていた生体リズムと、生活スタイルが互いが支援しあうような関係になっています。つまり、独自に編み出した生活スタイルで生きることが、体内の化学反応をより効率的にし、生体のもつ能力を最大限に引き出せるようになったのです。
生体リズムと、生活スタイルを結びつけているしくみの一つに、自律神経ネットワークがあります。活動に適した「緊張」を司る交感神経と、休息に適した「弛緩」を司る副交感神経とで構成される自律神経は、互いに拮抗しながら、生体リズムを刻んで生活できるよう、その力加減を微妙に調節し、脳をはじめ、他の神経や、臓器、筋肉に至るほぼすべての体内組織に指令を送り、コントロールしています。
自律神経が行動様式を導いてくれるおかげで、生体リズムを特に意識しなくとも、私たちは自然に人間に適した生き方をすることができます。
自律神経は、体の状態に応じて、免疫バランスをも左右します。たとえば、活動時である交感神経優位の際には主に細胞性免疫が、休息中である副交感神経優位の際には主に液性免疫が誘導され、体を守り、メンテナンスを行うよう、ホルモンを分泌します。
しかし、交感神経と副交感神経のバランスが崩れると、それはすなわち自律神経の働きの弱まりに繋がり、免疫の働きをも左右します。


リズムを崩し易い、現代人の生活
自律神経は、私たちの意のままにはならない神経であることから、不随意神経とも呼ばれます。意図してコントロールできない自律神経ですが、唯一、私たちがその補正を促すことができることがあります。それは1日の過ごし方にメリハリをつけることです。すなわち、太陽が昇っている日中には活動をし、太陽が沈んだ夜には休息をとること。それも、補正を目的にするときは、その度合いを強くするのです。よく晴れた日に思いっきり体を動かし、日が沈んだら、翌日のためにゆったりと過ごし、床につき、深く眠ること。この行動としてのメリハリをつけることが、自律神経バランスを補正するために私たちができることです。しかし、体を動かすことが少なく、また夜でも強い照明で昼のように過ごす現代人には、そうしたメリハリのある生活をおくることは難しくなっています。


ストレスが崩す自律神経バランス
自律神経バランスを崩す大きな要因のひとつに、ストレスがあげられます。私たちは、思考や感情などの脳での信号によっても、体への影響をうけます。危険や不安を感じると、体は緊張モード、すなわち交感神経優位状態になります。また、心で何か負担に感じたり、苦しさを感じることでも、緊張状態になります。
ストレスを感じ易い生活を送っている現代人の多くが交感神経優位になっている、と言えるのです。交感神経がつねに優位であることが多くなると、副交感神経優位である休息状態が、体に必要なだけとれず、体のこまめな修復が不足してきます。それが積み重なって、症状になってあらわれることもあります。


【Column】時計遺伝子と光
このように非常に重要な働きを持つ自律神経ですが、時に狂うことがあります。その原因の一つに、自律神経が根ざす脳の視床下部に異変が起きる、ということがあります。 この視床下部には、人間のもつ生体リズムを司る時計遺伝子の親時計ともいえる働きをもつ部分があります。この部分は、目から入る光を感知し、外部環境のリズムを感じながら、生体リズムを調整する働きを持っています。近年、パソコンなどの光に含まれるブルーライトについての規制について話し合われています。 ブルーライトは太陽光にも含まれており、長時間あびることによって、視床下部の親時計が影響を受け、生体に影響がでる恐れがあるためです。 光とのつきあい方がとても大切であることが言えます。



抜粋:
ヒールファクターズ・ラボ著「アトピー考察ノート」第3章:アトピーの原因としくみ より

現代社会のあり方こそが、アレルギーの原因かも

前述のように、アトピーは、様々な要因が合わさって発症する、と考えられ、また、近年の増加率から鑑みて、環境的な要因が大きな割合を占めているのでは、と推測されています。つまり、本来であれば、アトピーを実現するにははるか遠いところにあるような要因しかもっていないはずなのに、現代生活に潜む様々な要因によってぐいぐい引き寄せ、実現させてしまっている、ということです。
こうした社会のあり方こそが根本原因だといえるのかもしれません。
しかし、一方で、多くの研究から、免疫のしくみや、また治療におけるポイントが絞られて来ているのも事実です。こうした利点をどう活かして行くかが大切なことだと思います。



抜粋:
ヒールファクターズ・ラボ著「アトピー考察ノート」第3章:アトピーの原因としくみ より

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