2016年03月01日

腸管内のカンジダが、アレルギーの悪化に関わっている

マラセチア菌の他に、もうひとつ、近年、アトピーをはじめとするアレルギーに関与していると考えられている菌に「カンジダ」という真菌があります。カンジダも、ありふれたカビ菌で、どこにでもいます。さして悪さもしない、共存できる菌だと考えられてきましたが、近年、このカンジダが人体に棲み付くことによる様々な悪影響について多くの報告や発表がされています。特に注目されたのが、平成26年、「抗生物質の服用によって増殖した腸内の真菌(カビ)が喘息を悪化させるメカニズムを世界で初めて解明し、マウスを使った実験により喘息を軽快させることにも成功した」という、筑波大学と科学技術振興機構の共同で行われた発表です。
抗生物質の服用によって腸内環境が影響をうけることは知られていましたが、ここにカンジダが繁殖、プロスタグランジンE2という物質を生成して、肺に存在するマクロファージを活性化させ喘息を起こす、というのです。

腸管内のカンジダが、アレルギーを重篤化させるメカニズムがはじめて明らかになったのです。この発表の表題には「ぜんそく」とされていますが、内容のなかでは、花粉症やアトピーについても触れられており、今回、喘息を軽快させた方法と同様の薬剤の投与が有効と考えられる、と述べています。


抜粋:
ヒールファクターズ・ラボ著「アトピー考察ノート」第3章:アトピーの原因としくみ より

欧米では以前から腸管内のカンジダの作用が注目されていた〜腸が漏れ易くなる「リーキーガット」という考え方

アトピーにおいて、カンジダが関わっているのではないか、とする研究は、実はこれまでもされていました。アトピーの皮膚症状には、カンジダが原因でおきる皮膚炎と同じような傾向があること、また、一部のアトピー患者にみられる腸管内の炎症にカンジダが関わっているのでは、と示唆される臨床データもあったからです。

このからくりを、腸管が荒れて、漏れ易くなることによる、として説明したものが「リーキーガット」という考え方です。

腸内環境の悪化は、時に激しく、時に密かに進行し、免疫機能全体を狂わせる〜リーキーガット・シンドローム

腸管は単に食物の栄養を消化吸収する場として見られてきましたが、免疫においても非常に重要な役割をもっていることが解って来ています。
とくに、腸管内のコンディションには、腸管内に棲み付く細菌叢バランスの関与が重要であることが判明していて、腸管内の細胞と細菌叢の菌が密接に関わり、働くことで、食物の消化吸収、さらには危険な侵入物か否かを的確に判断して健康を守っている事がわかっています。

逆に、腸内細菌叢が充分に形成されていないと、腸管内の免疫細胞は判断をあやまりやすくなり、また腸管の働き自体も弱まると考えられています。さらに、悪玉菌が優勢になると、腸管は炎症を起こしやすくなると考えられています。悪玉菌とは、本来人間の腸管細胞と組んで腸管免疫を支えてくれる、ビフィズス菌や乳酸菌などとは異なるが、腸管内で生きて行ける細菌や、真菌などです。カンジダも当然、悪玉菌です。

腸管で激しい炎症が起きると、「炎症性腸疾患」という重大な病気となり、人間の生命は危機を迎えます。
入院するなどして適切な治療が必要になります。

一方で、そこまでの激しい症状がない場合でも、腸内細菌叢が健全でない腸管は傷つき易く、常にいくつかの炎症が腸管のどこかにある状態が続く、と考えられています。すると、本来は必要な栄養分だけを通過させるはずの腸管からは、まだ消化しきれていない大きな分子も通過させてしまい易く、このようなものが血中に入ることで、全身性の疾患にも繋がるのではないか、と考えられているのです。

欧米では、このような漏れ易くなっている腸のことを「リーキーガット」と呼び、そのことから様々な症状に繋がって行く状態を「リーキーガットシンドローム」と呼んでいます。



参考:https://en.wikipedia.org/wiki/Leaky_gut_syndrome

サンスター 健康道場「腸のおもしろ話 第3回 リーキーガットって知っていますか?」
(http://www.kenkodojo.com/column/guts/detail3.html)

アトピーの元凶として注目される「リーキーガット」

「リーキーガット」は、アレルギーの中でも、とくにアトピー性皮膚炎の機序を説明する際に、よく持ち出されるようになってきています。

近年、アトピー性皮膚炎は発生機序の違いによって、いくつかのタイプに分けられる、と考えられるようになってきています。これには、リーキーガットという概念の登場以外に、アレルギーを起こすしくみが新たに発見、解明されてきた背景もあります。その結果、これまでどおり、I型アレルギーに区分されるアトピーもあれば、IV型、あるいはI型とIV型の混合型アレルギーに区分されるものもある、と考えられるようになってきているのです。

このような、新しいアトピー性皮膚炎の捉え方において、「リーキーガット」は前提条件として外すことのできない要素のひとつとなっています。腸管内環境の荒れに始まるアレルギー反応がアトピー性皮膚炎として現れている、と考える医師は増えています。

日本ではまだ浸透していない「リーキーガット」という考え方

現在までに、腸内細菌叢が健全でない場合、「リーキーガット」というような現象がおきることは多くの医師が支持しているようですが、しかし、様々な疾患を「リーキーガットシンドローム」ひとつが原因であるように考えることについては異を唱える医師もいて、リーキーガットシンドローム自体は、日本では未だ市民権を得ていない状態にあります。


しかし、日本の医療現場での調査でも、炎症を起こしている腸管内でカンジダが検出されたという報告は多くあり、カンジダの異常繁殖が腸管や腸管免疫を害するという推測はなされています。

カンジダの腸管内繁殖がリーキーガットに繋がるとして、腸内環境を守るだけでなく、カンジダの駆逐を目的としたダイエット(食生活)の指導によって、健康が回復した、という欧米の報告は多くあり、日本でも腸管内を単に「守る」だけでなく、危険因子の排除という意味でカンジダをターゲットにした食物選びが注目され始めています。
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